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相続空き家の解体費、譲渡費用で控除できる?客観的必要性がポイント

相続した空き家を売却する際、解体工事費が数百万円かかることも珍しくありません。この解体費用を税務上の「譲渡費用」として控除できるかどうかは、特に相続空き家の3,000万円特別控除を利用する場合に重要な論点となります。

譲渡費用の基本的な考え方

土地や建物を売却した場合、譲渡所得金額の計算上、譲渡費用は取得費とあわせて資産の譲渡収入金額から控除できます。

譲渡費用は「資産の譲渡に要した費用」とされますが、どのような費用が該当するかについては、複数の判断基準が存在します。

譲渡費用の判定における2つの基準

「直接的必要性」による判定

国税庁タックスアンサーでは、譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」とし、直接的必要性が強調されています。

「客観的必要性」による判定

一方、所得税基本通達では、譲渡費用の例示として「土地(借地権を含む)を譲渡するため、その土地の上にある建物等の取壊しに要した費用」としており、直接的必要性は記載していません。これは、平成18年最高裁判決を契機に発出された譲渡費用の範囲についての個別通達を受けたものと思われます。

この裁判では、譲渡費用を従来の「直接的必要性」要件にとらわれず、「現実に行われた資産の譲渡を前提として客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかにより判断すべきもの」とし、新たに「客観的必要性」要件が判断基準として示されました。

この「客観的必要性」の要件は、それぞれの譲渡における個別事情に照らして客観的に判断されることになります。

相続空き家特例における解体費用の取り扱い

制度の目的と解体の位置づけ

相続空き家の特例で建物を耐震改修又は取り壊す目的は、耐震基準を満たしていない被相続人の空き家の発生を抑制する国の政策実現にあります。

空き家を取り壊す場合は、更地で売却するか、あるいは建物と土地を先に売却したうえで、売却した年の翌年2月15日までに建物を取り壊すことが税法上必要となります。そのため、解体工事費には土地売却のための客観的必要性があると考えられます。

特例要件が示す必要性

また、特例の適用には相続開始時から取壊し又は売却までの間、建物、土地を賃貸用、事業用、居住用に供しないこと、建物解体後は土地の売却まで建物や構築物の敷地の用に供しないことなど利用制限が課されます。これらの制約により、解体工事費の直接的必要性は高まります。

さらに、特例の適用期限は相続開始から3年経過する日の属する年の12月31日までですが、建物解体工事の後、媒介契約、売買契約、引渡しに至るまでの期間を速やかに進行させることにより、直接的必要性はより説明しやすくなります。

まとめ

相続空き家の解体工事費が譲渡費用として控除できるかは、平成18年最高裁判決で示された「客観的必要性」の観点から判断されることになります。特に相続空き家特例を利用する場合は、制度の要件や期限との関係で客観的必要性が認められやすい状況にあります。

ただし、個別の事情によって判断が分かれる可能性もあるため、大きな金額の解体工事を予定している場合は、事前に専門家にご相談されることをお勧めします。


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