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教育資金一括贈与の非課税制度は廃止へ 貸付用不動産の「時価評価」強化の衝撃

令和8(2026)年度税制改正の資産課税編では、これまでの「当たり前」だった節税策に大きなメスが入りました。特に「教育資金贈与の非課税制度廃止」と「貸付用不動産の評価方法の見直し」は、今後の資産承継プランに甚大な影響を及ぼします。

教育資金一括贈与の非課税制度、令和8(2026)年3月末でついに廃止

祖父母から孫などへ教育資金を最大1,500万円まで非課税で贈与できる制度が、令和8(2026)年3月31日をもって終了することが決まりました 。

  • 廃止の背景:利用件数の減少に加え、高額所得者による利用が集中し、経済格差の固定化を招いているということが主な理由です 。
  • 財源の転用:この制度を廃止することで、教育無償化などの新たな財源として活用される見込みです 。
  • 既存契約への影響:令和8(2026)年3月31日までに信託等で拠出された金銭については、廃止後も引き続き非課税の適用を受けることができます 。

検討中の方は、期限までの「駆け込み贈与」を検討する必要がありますが、出口戦略(使い切れない場合の課税)も含めた慎重な判断が求められます。

「貸付用不動産」を使った節税策に厳しい規制

これまで相続対策の王道とされてきた「賃貸物件の購入による評価減」に、事実上の終止符が打たれようとしています。国税庁と納税者の間で長年争われてきた「市場価格と通達評価額の乖離」について、ついにメスが入りました 。

  • 「5年ルール」の新設:相続(課税時期)の直前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、原則として「通常の取引価額(時価)」で評価することになります 。
  • 評価の目安:弊害がない限り、取得価額に時価変動を加味した額の「80%相当額」での評価も認められますが、従来の通達評価に比べれば評価額は大幅に上昇します 。
  • 不動産小口化商品はさらに厳格化:小口化商品については取得時期を問わず、常に「通常の取引価額」での評価となります 。
  • 適用時期:令和9(2027)年1月1日以降に相続等で取得する財産から適用されるため、現在保有している物件の「取得時期」を即座に確認すべきです 。

事業承継税制の提出期限は延長

経営者にとって唯一の朗報は、事業承継税制の「計画提出期限」が延長されたことです。

  • 個人版事業承継税制:計画の提出期限が令和10(2028)年9月30日まで延長(2年6カ月延長)。
  • 法人版事業承継税制(特例措置):特例承継計画の提出期限が令和9(2027)年9月30日まで延長(1年6カ月延長)。

これらはあくまで「計画の提出期限」の延長であり、制度自体の適用期限(贈与の実行期限等)が延びたわけではない点に注意が必要です。

 

今回の改正は、不動産を活用した相続対策の前提を大きく変えるものです。令和9(2027)年からの新ルール適用を見据え、既存の資産構成の見直しが急務となります。


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