大企業は「賃上げ税制」廃止へ、中小企業は継続 新設の「特定生産性向上設備投資」即時償却の活用法
令和8(2026)年度税制改正の法人課税編では、成長分野への「攻めの投資」を促すための強力な優遇措置が新設される一方で、これまでの賃上げ支援策が整理・統合されるなど、企業の投資判断に直結する大きな変化が生まれています。
100%即時償却も可能!「特定生産性向上設備」税制の創設
国内での「強い経済」を実現するため、高付加価値の設備投資を強力に後押しする新税制が創設されました。
- 対象となる投資: 国の確認を受けた投資計画に基づき、5年以内に実施される設備投資が対象です。
- 投資規模の要件: 取得価額の合計が35億円以上(中小企業者等の場合は5億円以上)であることが必要です。
- 収益性の要件: 年平均の投資利益率(ROI)が15%以上見込まれることが条件となります。
- 選べる特典: 「取得価額の100%即時償却」または「最大7%の税額控除」のいずれかを選択できます。
大規模な設備更新を控えている法人にとって、キャッシュフローを劇的に改善させる強力なツールとなります。
重点産業の研究開発を最大50%の税額控除
AI、半導体、量子、バイオなど、国の成長を左右する重点産業技術の研究開発に対し、非常に手厚い税額控除が新設されます。
- 控除率: 試験研究費の40%(特別重点産業技術は50%)という高い税額控除が認められます。
- 上限と繰越し: 法人税額の10%が上限ですが、研究費が前期を上回るなどの要件を満たせば、控除しきれなかった分を3年間繰り越すことが可能です。
賃上げ促進税制は「中小企業向け」のみ維持
これまで全法人を対象としていた賃上げ促進税制は、大きな転換点を迎えます。
- 大企業向け: 賃上げが順調に進んでいる実態を考慮し、令和8(2026)年3月31日をもって廃止されます。
- 中堅企業向け: 令和9(2027)年3月31日で廃止されますが、それまでの期間は「賃上げ率4%以上」が必要になるなど、要件が大幅に厳格化されます。
- 中小企業向け: 現行の制度が維持されます。 ただし、教育訓練費を増加させた場合の上乗せ措置は令和8(2026)年3月31日をもって廃止となるため、注意が必要です。
オープンイノベーション税制の拡充
スタートアップへの出資・買収を促す税制も、使いやすくアップデートされます。
- M&A型の要件緩和: これまでは「取得時点で株式の50%超」が条件でしたが、令和8(2026)年度改正からは「3年以内に50%超となる見込み」の段階から取得価額の20%を所得控除できるようになります。
今後は単なる賃上げへの還元だけでなく、生産性向上や研究開発への「投資」を行っているかどうかが、節税の恩恵を左右するポイントとなります。
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