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2022年度の雇用保険料率2段階引き上げ 10月から給与計算へ影響

2段階で引き上げられる雇用保険料率

新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、おととしの2月からこれまでの雇用調整助成金等の支給額は総額5兆円を超え雇用保険の財源不足が喫緊の課題となっています。

この事態を受け、雇用保険料率を労働者・事業者負担ともに引き上げる雇用保険法等改正案が衆議院本会議で可決されました。

この改正案によれば、

  • 2022年4月1日~…事業主負担の「雇用保険二事業の保険料率」が0.05%上乗せ
  • 2022年10月1日~2023年3月31日…労働者負担・事業主負担の「失業等給付・育児休業給付の保険料率」が0.2%上乗せ

と段階的に引き上げられる予定です。

雇用保険とは

雇用保険は労使が負担する雇用保険料や国庫負担などで賄われています。

雇用保険の中身は、「失業等給付」(労使折半)、「育児休業給付」(労使折半)、「雇用保険二事業」(事業主負担、助成金や教育訓練に充てる)で構成されています。

2021年度の雇用保険料率

  ①労働者負担
(失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ)
②事業主負担     ①+②
雇用保険料率

失業等給付・育児休業給付の
保険料率

雇用保険
二事業の保険料率
一般の事業 3/1,000 6/1,000 3/1,000 3/1,000 9/1,000
農林水産・清酒製造の事業 4/1,000 7/1,000 4/1,000 3/1,000 11/1,000
建設の事業 4/1,000 8/1,000 4/1,000 4/1,000 12/1,000

これが今後、段階的に以下のように変更になります。

2022年4月1日~9月30日の雇用保険料率

  ①労働者負担
(失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ)
②事業主負担     ①+②
雇用保険料率
失業等給付・育児休業給付の
保険料率
雇用保険
二事業の保険料率
一般の事業 3/1,000 6.5/1,000 3/1,000 3.5/1,000 9.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 4/1,000 7.5/1,000 4/1,000 3.5/1,000 11.5/1,000
建設の事業 4/1,000 8.5/1,000 4/1,000 4.5/1,000 12.5/1,000

4月の時点では労働者の給与から控除される保険料は変更ありません。

一般の事業では、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の料率は4月から0.3%から0.35%に上がります。その結果、一般の事業の事業主負担は全体で0.65%になります。

2022年10月1日~2023年3月31日の雇用保険料率

  ①労働者負担
(失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ)
②事業主負担     ①+②
雇用保険料率
失業等給付・育児休業給付の
保険料率
雇用保険
二事業の保険料率
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 5/1,000 3.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 6/1,000 3.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 6/1,000 4.5/1,000 16.5/1,000

10月からは、一般の事業では、労働者の給与から控除される保険料が0.3%から0.5%に上がります。

また、事業主負担は0.2%上乗せとなり、全体で0.85%となります。

このことにより、例えば給与25万円の会社員(一般の事業)ならば、

  現行

2022年10月1日~

労働者負担 750円 1,250円
事業主負担 1,500円 2,125円

上記のように、雇用保険料が労働者負担分だけでも月々500円アップすることになります。

一般の事業における雇用保険料率引き上げのイメージ図

料率改訂事務 変更はいつから

料率が改訂されることで、いつから実際の事務手続きの変更が必要なのか気になるところです。

年度更新については、今のところ2022年度労働保険概算確定申告時に2022年度の概算額として事業主負担の二事業の引き上げ分が上乗せされると予想されます。

また、10月からの料率改訂の分は10月以降の概算賃金額に引き上げられる新料率をかけて保険料の概算額を算出し、前半分と後半分を足して1年間の概算額とすることが予想されます。

詳しくは2022年度の労働保険料の計算方法が公表されるのを待ち確認することになります。

月々の実務では、各労働者の給与から控除する雇用保険料の徴収額が増加するのは2022年10月分給与からです。


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