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産後パパ育休と育児休業分割取得

10月1日から男性版産休ともいわれる「産後パパ育休」制度が始まります。これは従来の育休にプラスして、産後に最大4週間の育休を取得できるというものです。

また、育児休業制度の変更により、育休も2回まで分割して取得することが可能になります。

今回は、産後パパ育休および育児休業法の改正について、その具体的な内容や会社として留意すべき点などについて取り上げます。

10月から産後パパ育休制度が創設

新たに創設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、通常の育児休業とは別に、原則休業の2週間前までに会社へ申し出れば、出生後8週間以内に4週間までの休暇を取得できるというものです。

初めに申し出れば、2回に分割することもできます。

手続きは、育休を取得したい社員が会社の人事担当者に「育児休業申出書」を提出し、書面で行います。

申出書の社内様式例は、厚労省ホームページ「育児・介護休業等に関する規則の規定例」に掲載されています。

産後パパ育休の期間中は原則就業しませんが、労使協定を締結すると休業中の一部就業も可能になります。

出生時育児休業給付金の給付率は?

新設された産後パパ育休取得期間中には、「出生時育児休業給付金」の給付が受けられます。

前述の通り、産後パパ育児休業中に労使協定があれば就業も可能ですが、10日を超えて勤務すると給付金は受給できなくなりますのでご注意ください。10日を超える場合は就業時間数が80時間以下となる必要があります。

休業日数が28日より短い場合は、給付金受給可能な就業日数・時間も比例して短くなります。
例)10日間の休業:
・10×10/283.57(端数切り上げ)→4日
・80時間×10/28≒28.57時間(端数処理なし)

給付率 ※育児休業給付金と同じです

休業開始時賃金日額(育休開始前6カ月の賃金を180で除した額)×休業期間の日数×67%

(産後パパ育休期間中の終了に対して事業主から賃金が支払われた場合など、賃金額に応じて支給額が調整されます)

育児休業中は所得税・社会保険料・雇用保険料の支払いがないので、手取り賃金にして休業前の約8割程度が保証されることになります。

出生時育児休業給付金の申請者は事業主です。

出生時育児休業給付金の具体的手続きについて

ハローワークインターネットサービス:「育児休業給付の内容と支給申請手続

10月から育休が2回に分割可能に

さらに、育児休業制度の改正により、10月から育児休業も子が1歳になるまで分割して2回取得することが可能になります。原則3回目以降はありませんが、1歳以降でも例外事由に該当すれば再取得可能です。

産後パパ育休および新旧育休制度の比較

  産後パパ育休
(2022/10/1~) 

育休とは別に取得可能
育児休業制度
(2022/10/1~)
育児休業制度
(~2022/9/30)
対象期間
取得可能日数
子の出生後8週間以内に
4週間まで取得可能
原則子が1歳(最長2歳)まで 原則子が1歳(最長2歳)まで
申出期限 原則休業の2週間前まで※1 原則1カ月前まで 原則1カ月前まで
分割取得 分割して2回取得可能
(初めにまとめて申し出ることが必要)
分割して2回取得可能
(取得の際にそれぞれ申出)
原則分割不可
休業中の就業 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲※2で休業中に就業することが可能 原則就業不可 原則就業不可
1歳以降の延長 育休開始日を柔軟化 育休開始日は1歳、
1歳半の時点に限定
1歳以降の再取得 特別な事情がある場合
に限り再取得可能※3
再取得不可

(厚生労働省:「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和4年4月1日から3段階で施行」より)

※1 雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1カ月前までとすることができます。

※2 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
   ①労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
   ②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日などがない場合はその旨)
   ③労働者が同意
   ④事業主が通知
   なお、就業可能日などには上限があります。
    ・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
    ・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

※3 1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休の対象だった子が死亡したときなどは、再度育児休業を取得できます。

働き方・休み方のイメージ(例)

(厚生労働省:「中小企業事業主の皆様へ 改正育児・介護休業法 対応はお済みですか?」より)

社会保険料免除の条件が変わります

現在の育児休業中の保険料免除の要件は「その月の末日が育児休業中である場合」ですが、10月から以下の条件も加わります。

  • その月の末日に育児休業中でなくとも同一月内で14日以上の休業の場合
    ただし、「14日以上」の日数には、産後パパ育休の仕組みとして、休業中に事前に調整したうえで就業した日数は含まれません。
  • 「賞与に係る保険料」は連続して1カ月を超える育児休業を取得した場合に限り保険料免除

両立支援等助成金が活用できる

あわせて、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、育児休業を取得させた中小事業主などに支給される「両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」の活用も検討しましょう。

助成金額

生産性要件詳細については右記リンク先をご確認ください。厚生労働省「労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます

対象者 

中小企業のみ

要件

  • 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定などを策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること 

<第1種>

  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育休を取得すること

<第2種>

  • 第1種の助成金を受給していること
  • 第1種の申請をしてから3事業年度以内に男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇していること
  • 育児休業を取得した男性労働者が第1種申請の対象となる労働者の他に2名以上いること など

URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

 

今回の改正により、分割で短期間に育休を取得したり、夫婦間で取得時期をずらして育休を交代したりといった、柔軟な働き方、休み方ができるようになります。

事業主として注意しなければならないのは、今後「妊娠・出産の申し出をしたこと」、「産後パパ育休の申し出・取得をしたこと」、「産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと」などを理由とする不利益な取り扱いが禁止される点です。

さらに、事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。今年の4月1日からは、育休・産後パパ育休について社内で研修を実施したり、方針の周知を行うよう義務付けられましたが、従業員に対して、より一層の周知徹底が求められます。


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