KNOWLEDGE・COLUMN
ナレッジ・コラム

社員の健康を守り会社を守る 健康経営を目指そう!

健康経営とは?

1992年に、アメリカの経営心理学者ロバート・ローゼン博士が著書「The Healthy Company」内で提唱した概念です。

アメリカでは民間医療保険がメインであり、労働災害の増加などで医療費が高額になったことが背景にあります。

従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践していく経営手法です。

  • 健康管理=コスト

ではなく、

  • 健康管理=投資

であると位置づけ、健康管理による企業としてのリターンを求めています。

J&Jグループが世界250社、約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算したところ、健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになったとの調査結果も発表されています(経済産業省:「健康経営の推進について」より)。

国による健康経営促進の動向

国は、急激に進む少子高齢化により、事業継続のリスクや健康保険組合の保険料率引き上げなどが起こることを憂慮し、従業員の健康問題を重要視しています。

そのため、健康への投資を促進し、就労世代の活力向上や健康寿命の延伸などを実現することが重要であると、健康経営を推進する政策をとっています。

2014年

  • アベノミクスの成長戦略(2014年6月改訂版)「健康経営」という用語が、政府の文書としては初めて明示的に使われた

2015

  • 「日本健康会議」の創設
  • 「健康なまち・職場づくり宣言2020」制定(8つの宣言)
  • 「健康経営銘柄」の選定

2017年

  • 「健康経営優良法人」認定制度導入 非上場の中小企業や非営利法人も対象

出勤していても体調がすぐれない状態=プレゼンティーズムの問題

労働生産性と健康経営との関係を考えるうえで大切な概念が2つあります。

アブセンティーズム」と「プレゼンティーズム」です。

体調不良による労働生産性の損失といわれると、何らかの身体的な病気で会社を休むという状況を思い浮かべるのではないでしょうか。これは「アブセンティーズム」といいます。

一方で出勤はしているものの体調がすぐれず生産性が低下している状態を「プレゼンティーズム」といいます。

これらの概念は、WHO(世界保健機関)によって、健康問題に起因したパフォーマンスの損失を表す指標として提唱されました。

近年、労働生産性損失の関連で注目されるのが後者の「プレゼンティーズム」です。

なぜなら欧米を中心とした多くの研究で、プレゼンティーズムに起因する労働生産性の低下による経済的損失の方が、アブセンティーズムによる経済的損失より大きいという結果が示されているからです。

ポイントは、健康状態が悪化している中で出社しているという点です。

職場で健康を保持・増進する行動

プレゼンティーズムは、以下のような症状や指標が考えられます。

運動器・感覚器障害 頭痛、腰痛、肩こり、眼精疲労
メンタルヘルス不調 メンタルストレス、ワーク・エンゲイジメント(働きがい)、うつ病
心身症
心身症の内、ストレス性の内科疾患
動機・息切れ、胃腸の不調、食欲不振、便秘・下痢
生活習慣病 肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、脳卒中、心臓病
感染症・アレルギー 風邪、インフルエンザ、花粉症、その他アレルギー

経済産業省発表の「健康経営オフィスレポート」では、上記の症状や指標に対して効果が期待できる、オフィス環境において従業員の健康を保持・増進する行動として、以下の7つを挙げています。

  1. 快適性を感じる
  2. コミュニケーションする
  3. 休憩・気分転換する
  4. 体を動かす
  5. 適切な食行動をとる
  6. 清潔にする
  7. 健康意識を高める

健康増進のためにできるオフィス環境の整備として、前出のレポートでは以下を挙げています。

空間 家具・レイアウト・内装など
設備 照明・空調など
情報 ICT・インフラなど
運用 制度・ルールなど

導入に向けては、経営陣の理解、重要性や目標の周知、社内外PRや健康企業宣言を行うなどの計画、従業員の情報収集への理解や協力が必要です。

 

お問い合わせ・ご相談
お困りごとやご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。