複数拠点の会社は要確認!法人住民税・事業税の「分割基準」と従業者の数え方
複数の都道府県や市町村(以下、地方公共団体という)に事務所等を持つ法人は、法人住民税の法人税割や法人事業税の申告にあたり、「分割基準」によって課税標準額の総額を地方公共団体ごとに分割する必要があります。
実務では、事務所等の数をどのように数えるか、誰を従業者に含めるかで迷うケースが多く、誤りが生じやすい論点のひとつです。申告前に今一度、基本的な計算方法を確認しておきましょう。
「分割基準」とは何か
法人住民税の法人税割や法人事業税は、事務所等が所在する地方公共団体ごとに課税されます。複数の地方公共団体に事務所等を持つ法人の場合、課税標準額の総額をそのまま各地方公共団体に申告するわけではなく、一定の基準によって分割し、地方公共団体ごとの課税標準額と税額を算定します。この基準が「分割基準」です。
法人住民税(法人税割)と法人事業税で「分割基準」が異なる
まず押さえておきたいのが、法人住民税(法人税割)と法人事業税では使用する分割基準が異なるという点です。
法人住民税(法人税割):「従業者の数」のみで分割します。
法人事業税:業種によって異なります。 電気供給業、ガス供給業、倉庫業、鉄道事業・軌道事業など、別の分割基準が適用される業種を除く法人の場合、以下のとおりです。
| 業種 | 分割基準 |
| 非製造業 |
<課税標準額の総額の2分の1> <課税標準額の総額の2分の1> |
| 製造業 | 従業者の数 |
なお、事業年度終了の日の資本金1億円以上の製造業の法人については、通常の従業者の数に加えて、工場の従業者の数×1/2を加算します。工場の従業者の数が奇数の場合は、その数に1を加えた上で1/2を乗じます。
「事務所等の数」の計算方法
非製造業では、「従業者の数」に加えて「事務所等の数」が分割基準として適用されるため、正確な算出が重要です。
「事務所等の数」は、事業年度に属する各月の末日現在における事務所等の数を合計して算出します。
たとえば、ある県に事業年度を通じて1か所の事務所が存在した場合、「1」ではなく「12」(1か所×12か月)として計算します。年度の途中で新設・廃止した場合も、単純な経過月数ではなく、各月末日に事務所等が存在していたかどうかによって数えます。
なお、同一県内・同一市町村内に複数の事務所等がある場合は、それぞれを1つとして数えますが、同一構内・同一区画にある店舗や建物などについては、原則として一つの事務所等として扱います。また、建設工事に係る現場事務所で設置期間が6か月以上のものは、事務所等の数に含める必要があります。
「従業者の数」の計算方法
分割基準における「従業者」とは、俸給・給料・賃金・手当・賞与その他これらの性質を有する給与の支払いを受けるべき者を指します(地方税法施行規則第6条の2の2①)。実際に給与等の支払いがなくても「受けるべき」者は含まれる点に注意が必要です。
「従業者の数」は原則として「事業年度の末日」の人数で計算します。ただし、以下の場合は例外的な計算方法が適用されます。
- 事業年度中に従業者の数が著しく変動した場合(各月末日の最大人数が最小人数の2倍超)→ 各月末日の平均人数を使用
- 事業年度の途中で事務所等を新設・廃止した場合 → 補正計算を行う
誰を「従業者」に含めるか
分割基準の計算で最も迷いやすいのが、誰を従業者としてカウントするかという点です。以下の一覧で確認してください。
| 社員等のタイプ | 従業者の数への算入 |
| アルバイト・パート・契約社員・嘱託社員 | 含める |
| 取締役・監査役・非常勤役員 | 含める(原則として、報酬等の支払いの有無を問わない) |
| 他社からの出向者 | 含める |
| 他社への出向者 | 含めない |
| 派遣会社から派遣された者 | 含める |
| 病休・産休・育休等の休職者(連続して1か月以上) | 含めない |
| 事業年度末日を退職日とする者 | 含める |
特に実務で誤りが生じやすいのは、「他社からの出向者は含める・他社への出向者は含めない」という非対称な扱いと、「病休・産休・育休等の休職者は連続1か月以上なら除外」という条件です。また、「事業年度末日を退職日とする者は含める」という点も見落としがちです。申告前に今一度、各事務所等の従業者構成を確認することをお勧めします。
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