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フリーランス新法成立 業務委託する際に配慮すべきこと

フリーランス新法の概要

2023年4月、参院本会議において、フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案)が全会一致で可決され、成立しました。

5月12日に公布され、公布日から起算して1年6月を超えない範囲内に施行されます。

この法律は、フリーランスの取引適正化就業環境整備が目的とされています。

新法ではフリーランスを「特定受託事業者」と呼称しており、その定義および対象となる取引は以下の通りです。

フリーランス(特定受託事業者)の定義

業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないもの(個人・法人)

対象となる取引

事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成または役務の提供を委託すること

(厚生労働省:「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要(新規)」より)

これまでフリーランス保護については、下請法や独占禁止法、実質的に雇用関係にあるような場合は労働関係法令が適用されてきました。

しかし、下請法は親事業者の資本金が1,000万円以下の場合は取り締まりの対象外になるなど、既存の法律ではカバーしきれない面がありました。

現状、フリーランスが日本国内に462万人(2020年調査)おり、さらには多様な働き方が国から推進されていることから、法整備は急務であり、今回の新法制定となりました。

下請法に比べカバーする面が広くなることから、委託する側も新法への理解を深めておく必要があります。

フリーランスに委託する際に、委託者が配慮すべき点について以下で解説します。

フリーランスに係る取引の適正化

フリーランスに業務を委託する事業者は、業務内容、報酬額、支払期日などの条件を書面もしくは電磁的方法において、明示する義務が発生します。

支払期日は発注した業務の成果物を受領した日から60日以内です。

また、業務を委託する事業者は以下の行為が禁止されます。

  1. 一方的な受領拒否
  2. 一方的な報酬減額
  3. 一方的な返品
  4. 不当な買いたたき行為
  5. 一方的な押し売り
  6. 金銭・役務などの利益提供の強要
  7. 不当な変更・やり直しの強要

フリーランスの就業環境整備

フリーランスの働きやすさを改善するため、業務を委託する事業者には以下の義務が課されます。

  • フリーランスの求人などを掲載する際は虚偽の表示をしてはならない
  • 育児介護などとの両立を図るため、フリーランスからの申し出があれば、納期やスケジュールを調整する、リモートワークを許可するなどの配慮をしなければならない
  • フリーランスに対する、ハラスメント行為に係る相談対応など、必要な体制整備などの措置を講じなければならない
  • 中途解除する場合には、原則として30日前までに予告しなければならない

違反者には罰則規定もあり

委託事業者がフリーランス新法に違反した場合、公正取引委員会などから助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令が下る可能性があります。

命令違反および検査拒否などに対しては、50万円以下の罰金も科されます。

罰則は、担当した従業員のみならず、法人にも適用される「両罰規定」です。

社外のフリーランスに業務を委託しているならば、新法の詳細を社内で周知し、契約書の内容などを確認しておくようにしましょう。


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