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令和6年度(2024年度)税制改正 資産課税・消費課税編

 

目次

資産課税編

    1. 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置を延長
    2. 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税特例を延長
    3. 特例承継計画の提出期限を延長
    4. 固定資産税などの負担調整措置を継続

消費課税編

    1. プラットフォーム課税の導入
    2. 事業者免税点制度の特例見直し
    3. 簡易課税制度などの見直し
    4. 金、白金の地金などは200万円で高額特定資産
    5. 仕入税額控除の経過措置は10億円を上限
    6. 自販機特例の帳簿記載要件緩和
    7. 外国人旅行者向け免税制度の見直し

その他

    1. 事業税 外形標準課税の対象拡大

資産課税編

 継続  1.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置を延長

贈与税の非課税制度は、世代を超えた格差の固定化につながることから慎重な対応が求められています。ですが、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置については、住宅取得促進を図る観点から、3年間の延長となりました。

省エネ性能の適用要件に以下のような見直しが入りました。省エネ等住宅の場合は1,000万円、その他の住宅の場合は500万円までの贈与が非課税となります。

  ~2023年12月31日 2024年1月1日~
変更のあった要件 断熱等性能等級4以上
または
一次エネルギー消費量等級4以上
※省エネ性能以外の耐震・バリアフリー要件に変更なし
左記以外の
住宅
断熱等性能等級5以上
かつ
一次エネルギー消費量等級6以上
※省エネ性能以外の耐震・バリアフリー要件に変更なし
左記以外の
住宅
非課税限度額 1,000万円 500万円 1,000万円 500万円

2024年1月1日以後の贈与に適用されます。

 継続  2.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税特例を延長

特定贈与者からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例についても適用期限が3年間延長されます。

2024年1月1日以後の贈与については、取得財産の価額の合計額から110万円の基礎控除額を控除した後の残額について、2,500万円の特別控除を適用し、20%の税率を乗じて贈与税額を算出します。

また、2024年1月1日以後に、特定贈与者の相続税の申告期限までの間に贈与を受けた土地・建物が災害により一定の被害を受けた場合は、相続財産の価額に加算される土地・建物の贈与時の価額から被災価額を控除することができます。

 継続  3.特例承継計画の提出期限を延長

法人版事業承継税制は、円滑化法の認定を受けた非上場会社の株式などを贈与・相続などにより取得した後継者の贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡などにより猶予税額の納付を免除する制度です。

2018年度に、適用要件を緩和する特例措置の制度が10年間限定で設けられましたが、その際、都道府県知事に提出する特例承継計画の提出期限が2年間延長されることとなりました。

ただし、特例措置の適用期限は、当初の10年間(2027年12月31日まで)のまま変更はありません。

個人版事業承継税制においても、個人事業承継計画の提出期限が2年間延長されますが、適用期限(2028年12月31日まで)は当初のまま変更ありません。

 継続  4.固定資産税などの負担調整措置を継続

2024年度は、3年に1度の固定資産評価替えの年です。

宅地などに対する固定資産税は、課税の公平性の観点から3年間の負担調整措置と条例減額制度が継続されます。

また、据置年度において地価が下落した場合に、基準年度の価格を修正する特例措置も継続されます。

 

消費課税編

 増税  1.プラットフォーム課税の導入

国外事業者からオンラインゲームや映画などの配信がデジタルプラットフォームを介して日本の消費者に適用された場合、電気通信利用役務の提供として消費税が課税され、国外事業者が申告納税義務を負います。

しかし、税務署側では国外事業者の把握が困難であり、課税漏れが発生するため、国外事業者に代わり、プラットフォーム事業者が対価を収受したとみなして課税するプラットフォーム課税を導入します。

2025年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供に適用されます。

 増税  2.事業者免税点制度の特例見直し

国外事業者に対する納税義務免除の特例について、租税回避是正のため判定基準を以下のように見直します。

  • 特定期間の特例は、給与支払額による判定を除外する
  • 新設法人に対する特例は、国外事業者が基準期間を有する場合においても国内における事業開始の日に資本金の額により判定を行う
  • 特定新規設立法人に対する特例は、国外分を含む収入金額が50億円を超える者に直接、間接に支配される法人を特定新規設立法人の範囲に加える

2024年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

 増税  3.簡易課税制度などの見直し

課税期間の初日に所得税法上または法人税法上の恒久的施設(PE)を有しない国外事業者には、簡易課税制度および2割特例の適用は認められなくなります。

2024年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

 増税  4.金、白金の地金などは200万円で高額特定資産

金や白金の地金などは、その課税期間の取得合計額が200万円以上の場合を高額特定資産の範囲に含め、仕入れなどの日の属する課税期間の初日から3年間は原則課税が強制され、簡易課税制度の適用が制限されます。

2024年4月1日以後に行われる課税仕入れおよび保税地域からの引き取りに適用されます。

 増税  5.仕入税額控除の経過措置は10億円を上限

免税事業者など適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る税額控除についての経過措置とは、当初3年間は仕入税額相当額の80%を、その後3年間は50%を仕入税額とみなして仕入税額控除を認めるものです。

この制度の適用を、同一の者からの課税仕入れで年間10億円までとします。

2024年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

 整備  6.自販機特例の帳簿記載要件緩和

自動販売機や自動サービス機による課税仕入れ(自販機特例)や、使用の際に証票が回収される課税仕入れ(回収特例)に該当するもので、3万円未満の取引は、帳簿へ住所などの記載が不要とされます。

※2023年10月1日以後のものも、運用上、改めて記載は求められません。

 整備  7.外国人旅行者向け免税制度の見直し

消費税免税制度の不正利用に対応する観点から、免税購入品であることを知りながら仕入れた場合には、その仕入税額控除を認めないこととされます。

2024年4月1日以後の課税仕入れから適用が開始されます。

 

その他

 増税  1.事業税 外形標準課税の対象拡大

資本金を資本剰余金へ項目間で振り替え、減資することで外形標準課税の対象外となる事例へ対応するため、当分の間、「前年度に外形標準課税の対象であった法人」で、当年度に資本金1億円以下、かつ、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超となるものは、外形標準課税の対象に追加されます。

2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


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