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数十億円で取引されることもある新しい資産「NFT」、何所得になる?

新しい資産「NFT」

NFT(Non-Fungible Token)とは、日本語に訳すと「代替性トークン」です。

よく耳にする「仮想通貨」は「代替性トークン(FT)」です。

この「代替性」とは、例えば代表的な仮想通貨である1ビットコインは、他の1ビットコインと同じ価値で替えが利くことを指します。

一方、NFTは「替えが利かないトークン」です。プロ野球選手のサイン入りバットと、市販のバットを想像すると分かりやすいかもしれません。

「トークン」とは、しるし、象徴、証拠といった意味を持った言葉ですが、ここにおける「トークン」とは、ブロックチェーン技術を使用して発行した「暗号資産」の総称です。ブロックチェーン技術とは以下のようなものです。

ブロックチェーン技術

情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種

(総務省:「平成30年版 情報通信白書」より)

取引情報がブロックとして記録され、チェーンのように繋がっていくことから称された、データの改ざんや不正利用が非常に困難な技術です。

ブロックチェーンのイメージ図

(総務省:「平成30年版 情報通信白書」より)

つまりNFTとは、「ブロックチェーン技術を利用して唯一の価値を持たせた暗号資産」を意味します。

複製不可でデジタルの価値が上昇

NFTは「トークン」を用いているため、複製などの不正利用ができません。デジタルアート作品やSNS上で利用できる服飾アイテムなどに、デジタル資産の所有者が明確になることで「価値」が生まれ、2021年には投機商品として売買が過熱しました。

大きく注目されるようになったきっかけのひとつが、2021年3月にデジタルアーティストの作品が6,935万ドル(当時のレートで約75億円)で落札されたことです。

「ツイッター社創始者の最初のツイート」などの、一点モノの「希少性」に価値を感じ保有したいと思う人や、それを見て投機商品としてNFTを扱う人などを巻き込み、NFTの市場規模は拡大しています。

国税庁がNFT取引の課税関係を解説

これまでNFTの税法上の扱いについては、当局からの見解は特に示されておらず、迷いが生じるところでした。

しかし2022年4月1日付で、国税庁はNFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係に対する見解を示しました(国税庁タックスアンサー:「NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」)。

「仮想通貨」として知られるFTについては、2022年6月3日付本コラムにおいて「「物」から「通貨」へ 暗号資産税務の変遷」として取り上げています。

「物」から「通貨」へ 暗号資産税務の変遷

国税庁タックスアンサーでは、NFTを用いた取引についてもFTと同様に課税対象となり、

  • 役務の提供などにより取得した場合…事業・給与・雑所得
  • 臨時・偶発的に取得した場合…一時所得
  • 上記以外の場合…雑所得

として区分されると解説しています。

また譲渡は、

  • 譲渡所得の基因となる資産に該当する場合(値上がり益と認められる場合)…譲渡所得

に区分されるとしています。

ただし、

  • 譲渡が営利目的として継続的に行われている場合や、譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合…雑所得や事業所得

に区分されるとしています。

結局のところ、雑所得となるか事業所得となるか、はたまた譲渡所得となるかは、個別の事情を見て判断することになります。NFTの取り引きがある場合は、税理士へご相談ください。


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